mercredi 18 juillet 2018

どうして、パリのエスカレーターでは右に寄らなければいけないのか?(リベラシオン、2018年3月2日)


原文

Pourquoi faut-il rester à droite dans les escalators parisiens ? (Libération, 2 mars 2018)


 

 

訳者のひとこと

これは、フランスの新聞『リベラシオン』が運営するサイト『チェックニュース』の記事である。このサイトでは、読者からの質問に対して記者が調査をし、答えていく。

今回は、「どうして国・地域によって、エスカレーターで立つ位置が違うのだろうか」という質問について追究していく。あなたは左右どちら側に立つだろうか?

 

 

Commentaire

Cet article vient du site Checknews, qui appartient au journal français Libération. L’objectif de ce site est d’examiner la véracité d’informations qui circulent sur internet. Les lecteurs écrivent à Checknews et un·e journaliste leur répond en donnant des preuves pour justifier sa réponse.

Cet article, en particulier, traite de la raison pour laquelle on reste à droite ou à gauche dans les escalators, selon les villes. Il y a beaucoup de théories intéressantes, certaines remontant même jusqu’à l’époque des samouraïs, mais il n’y a jamais de preuve définitive.

Cependant, malgré l’objectif du blog de vérifier l’information, nous avons découvert qu’une des sources utilisées dans cet article était, en fait, un poisson d’avril, et cela ne fait que renforcer le mystère autour de ces questions.

 

 

訳文

 

どうして、パリのエスカレーターでは右に寄らなければいけないのか?

(リベラシオン、2018年3月2日)

 

エスカレーターでは、急いでいる人が左から追い越せるように右に寄らないといけない。実際、パリの人々はこの規則をよく知っている。

 

フランスのエスカレーターでは、道路と同様に、左から追い越すのが決まりである。これは暗黙の規則で、条例や文書には記載されていない。パリ交通公団は、この規則を当たり前だとしていながらも、その特定な理由は述べていない。

 

他の国ではどうだろうか?

シドニー、シンガポールや東京では、自動車は左側通行である。また、地下鉄の駅のエスカレーターでは、左側に寄らなければいけない。

 

ある街で車が走る方向と、その街のエスカレーターで寄るべき位置は、常に関係あるといえるのだろうか?

 

例外もある。一番有名なのはロンドンである。イギリスでは車は左側通行であるにも関わらず、ロンドンの地下鉄の駅では、ほぼどこにでも、エスカレーターのステップに至るまで「Stand on the right」(「右側に寄ってください」)という掲示が見られる。

 

いったいなぜだろう。謎は残ったままである。BBC(英国放送協会)とガーディアン紙が調査したが、結局答えには辿り着けなかった。唯一の手がかりは、ロンドンの地下鉄を舞台にした恋愛映画『アンダーグラウンド』(「Underground」)という1928年のイギリスのサイレント映画の中にあるようだ。その映画の中には、斜めになっているエスカレーターが出てきて、乗るときに右足から乗るようになっている。それゆえイギリス人たちは、自然と右に寄るようになったのだろう。私たちチェックニュースはそのシーンを何度も見たが、この有名な「斜めのステップ」を見つけることはできなかった。

 

 ロンドンの交通を管理するロンドン交通局は、チェックニュースの取材に対し、これよりも納得のいく答えを出すことができなかった。ロンドン交通局は、「この質問に対する決定的な答えはない」と認めた。彼らによると、BBCとガーディアン紙の説明は「ただの一説に過ぎない」ということである。そして、「Stand on the right」という掲示は、ただ「既に存在していた習慣」に対応しただけだという。

 

 謎は残ったままである。そしてロンドンだけではない。日本では、車は左側を走る。そして、東京の地下鉄のエスカレーターでは左に寄る一方で、大阪ではなぜか数十年前から右に寄るようになった。これもまた謎である。日本で一番読まれている英字新聞『ジャパン・タイムズ』によると、その答えは江戸時代(1600~1868年)にあるようだ。当時、江戸では武士は刀を腰の左側に差していたため、他人を傷つけないように道の左側を歩いていた。その一方、当時武士が江戸ほどいなかった大阪では、商人が右側に商品を担いでいたため、江戸とは反対側を歩かなければならなかった。これはあくまで仮説にすぎないが、最もよく耳にする説である。

 

  2016年、ロンドンの地下鉄のとある駅で、一日だけ、利用者にエスカレーターで歩かないようにしてもらうという実験が行われた。エスカレーターの各ステップに、二人ずつ乗れば、より多くの人を一度に運べるだろうという考えだった。言い換えると、歩く人に止まってもらうことで、利用者全員の移動時間を短縮できるということである。計算上、ラッシュ時には、同じエスカレーターで通常より30パーセント多くの人を乗せることができる。しかし、その方法は定着しなかった。この方法は日本でも検討されたことがあるが、結局は同じような結果になった。ロンドンと大阪の謎は残ったままである。

 


(訳者注:当時、武士の刀同士がぶつかることは無礼とされ、斬り合いになることもあった。)

訳者:Natsuki T., Ayaka T., Mizuho F., Yui Y., Yumi S., Tracey C.






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